君の好きな物を作ってあげるよ。(ピピピ/ラキアコ)

ラッキーの通う音高では今日調理実習がある。

ラッキーは前日からエプロンを用意し、準備万端の状態で

当日を迎えた。

下位クラスも上位クラスもなく、全員が調理実習室に集まる。

 

「今日はハンバーグを作ります。材料は一通り揃っています。

作ったものを自分で食べても誰かにあげてもOKです。では始めて下さい」

 

ラッキーは挽肉を捏ねながら、こんなことを考えていた。

 

(確かフルスさん、ハンバーグ好きだったよな……。フルスさんにあげるか……)

 

そうこうしている内にハンバーグは出来上がり、ラッキーは丁寧に

盛り付けて亜子のところへ持って行った。

 

「フルスさん、これ俺が作ったんだけど……良かったら味見してくれないかな……?」

 

亜子は目を輝かせて勢いよく頷いた。

少し冷静さを取り戻してから、亜子はナイフとフォークでハンバーグを切り分け、

口へ運び、微笑みを浮かべてこう言った。

 

「ありがとう、園田くん……こんな美味しいハンバーグを食べたの久しぶり……!」

「喜んでもらえて良かった……!」

 

今日はラッキーにとっても亜子にとっても最高の一日になった。