風水の日常(さねぎゆ)
無惨を倒して数ヵ月。
激闘を生き抜いた実弥と義勇は、生き残ったたった二人の柱だ。
他の柱は激闘の中で命を落としたこともあって、二人は自然と一緒に居る
時間が増え、食事を共にすることも多くなった。
「よォ義勇、ちょっといいか?」
「……実弥か。ああ、ちょうど用事が終わったところだ。付き合おう」
二人は時々時間が合えば二人で街をブラブラすることも増え、一緒に
買い物をする機会も増えた。
「それで、今日はどこへ行くんだ?」
「ああ。実は最近仲良くなった奴が居てな、そいつのために贈り物を
しようと思うんだ。そいつが好きな物が何なのか分からなくてよ、それで
一緒に選んで欲しいんだが……頼めるか?」
「お安い御用だ。そいつの好みを教えてもらえるか?」
「うーん……まず、蕎麦が好きで趣味は詰め将棋だ。時々猫と戯れている姿も
見かけるな」
「そうか……なら、猫の根付とかはどうだ? 蕎麦はいつ渡せるか分からないし、
将棋はそいつが用事が無い時しか出来ないからな」
「それはいいな。じゃあそれを探すか」
そう言って二人は店に向かって歩き出した。
店内に入り猫の根付を見つけて会計を済ませ、二人は店を出た。
行きつけの蕎麦屋で昼食をしていると、実弥が先程買ったばかりの根付を
義勇に差し出してきた。
「……これは……?」
「実はお前にやりたくてよ、お前の好みが分からないから、こうして付き合って
もらったってわけだ」
「そうか、有難う。大切にする」
「おう、そうしてくれると俺も助かる。そのために選んだんだからな」
そう言って二人は昼食を終え、帰路に着いた。