映像的な甘い香りを(ピピピバレンタイン/ラキフル)
今日は2月14日、バレンタインデー。
ラッキーの通う音高でもあちこちでチョコを渡す生徒で溢れ返っていた。
ラッキーはレイジロウから大量の薔薇を貰い(学校に持ち込めないので家に置いてきた)、今日はバレンタインということを思い出したまま学校にやってきた。
レイジロウの気持ちは嬉しいが、やはり男としては女子からチョコを貰いたいな、と
思っていた。
「園田くん、おはよう」
声をかけてきたのは古須亜子。首席の女生徒でラッキーの友達だ
「おはよう、フルスさん」
「今、時間ある? ちょっとでいいから……」
「うん、あるけど……何?」
「実はね……園田くんにはピアノで願いを叶えてくれたから、お礼をしたいと思って、
チョコを作ってきたの。義理だから遠慮なく受け取って欲しいの」
ラッキーはその瞬間硬直した。女子からチョコを貰いたいとは思っていたが、
まさか音上を恨んでいる亜子からチョコを貰えるとは思っていなかったからだ。
「いいの……? 俺、元音上なのに……」
「音上とかそういうのじゃないの。これは感謝の気持ちだから……」
「ありがとう、フルスさん。お返し、楽しみに待っててくれよ!」
「う、うん。待ってる……」
照れ臭そうに言う亜子に微笑み返し、二人は音楽室へ向けて歩き出した。