甘い昼下がりにティラミスを(ピピピ/ラキミー)
ある春の日、ラッキーはおばさんが留守の間に街へ出ることにした。
今日はミーミンと会う約束をしていて、美味しいと評判の近所のケーキ屋で
待ち合わせをしているのだ。
(ミーミンの食欲は半端ないからな~……俺の小遣い、一瞬で吹っ飛びそう……)
などと若干暗い気持ちになりながら、待ち合わせの場所に行くとミーミンが待っていて、ラッキーに気付くとニコニコ笑ってみせた。
いつもは高飛車なミーミンが笑うのは、甘いものとラーメンを食べる時だけと相場は決まっている。父親の楽音はそういうタイプではないし、母親は入院中でそれどころではないので、ミーミンに付き合えるのはラッキーだけなのだ。
「おはよう、ミーミン。今日もティラミスだよな? 昔からミーミンはケーキの
中でも特にティラミスが好きだったもんな~」
「おはよ、ラッキー。あたしの好みを覚えてくれてるの、今じゃラッキーだけだもんね。今日はあたしが奢るから、好きなだけ食べていいわよ」
ミーミンの言葉に、ラッキーは唖然とした。当然自分が奢ることになるだろうと思っていたラッキーは驚いて目を瞬かせた。
(ミーミンがケーキを奢る……? あの高飛車なミーミンが……!?)
などとかなり失礼なことを思いながら、せっかくの機会なのでラッキーはミーミンの
言葉に甘えて、ショートケーキとモンブラン、オペラとコーヒーをご馳走になった。
「有難う、ミーミン。次会う時は俺が味噌ラーメン奢るから。替え玉もOKだから、
好きな時に言ってくれよな!」
「ホント!? 有難うラッキー。楽しみにしてる。またね!」
そう言って走り去っていくミーミンを見ながら、ラッキーは彼女と反対方向へ
歩き出した。