もしみつめが神饌組隊長だったら(神食の料理人11話のその後)

「なぁ兄ちゃん、その金剛魚っていう神食を食べればイザの腕が

治るって本当か?」

 

ラーメンをご馳走になった後、十八はなつめと一緒に街を歩いていた。

イザはあの後神食缶詰を売るために別行動を取っている。

 

「本当だよ。ただ金剛魚は神出鬼没で、どこに現れるのかは僕にも分からないんだ。

目撃情報も少ないし、ゆっくり探していくしかないね」

 

「そうなのか……ていうか、何でそんなに詳しいんだ? 兄ちゃんも見たことないんだろ?」

 

その言葉を聞いた瞬間、なつめの顔つきが変わった。

 

「見たことは確かに無い。でも、僕は神饌組の隊長だからね。神饌組には

色んな街を旅してきた人間が多く居て、その中には金剛魚についての情報を

持ち帰った者も居る。僕はその情報を彼らから聞いたんだよ」

 

「へー……ってイツツと同じ神饌組の隊長なのか!? 確かに只者じゃないと思ったけど……」

店先で怯えていたのは演技であること、隊長ともなればそう簡単に素性を明かせないのだとなつめは言った。十八に話したのはイツツから話を聞いていて、信頼に足ると判断

したからだと言う。

思えばイツツも神食が襲ってくるまで身分を明かさなかったな、と思いながら十八は

その話を聞いていた。

 

(これでイザの腕を治してやれる。待ってろよ、金剛魚……!)