氷の華と幸せな[X]を(桐須真冬誕生祭2021)

2021年12月28日、成幸は家の近所のコンビニの前でちょっとお洒落をして

人を待っていた。その人物は高校時代の恩師で現在恋人関係にある桐須真冬。

今日は真冬の誕生日なので、そのお祝いと成幸の父のお墓参りに行こうということに

なったのだ。

 

(真冬さんまだかな……?)

 

約束の10時まであと15分なのだが、実は成幸は一時間前ーーつまり9時からソワソワして落ち着かずにかなり不審人物のような体で時々道行く人に後ろ指を刺されながら

待っていた。

 

「お待たせ、成幸君。待ったかしら?」

「おはようございます、真冬さん。全然待ってないです。今来たところです!」

「そう、よかったわ。じゃあ早速行きましょうか」

「は、はい!」

 

まずはお洒落なカフェに入り、パンケーキと紅茶を食べ、次はショッピング。

真冬の誕生日なので成幸はバイト代を稼いで貯めたお金でネックレスを買い、プレゼントをした。そしていよいよ、輝明のお墓参りに行くことになった。

 

『六辻ヶ丘霊園』と名前の書かれた墓地に着いた二人は、バケツと柄杓を持って

水をバケツに汲み、途中の花屋で買った花を供えて線香に火を付け、二人で

お墓に手を合わせた。

 

(親父、俺は今幸せに暮らしてるよ。好きな人も出来たんだ。母さんも水希も葉月も

和樹も元気にやってるから、心配要らないよ)

 

(先生、私は好きな人と幸せな生活を送っています。どうか安らかに……)

 

二人はそれぞれの気持ちを祈って、バケツや柄杓を片付けてその場を後にした。

 

~完~