小妖精と星の出会いは[X]に相まみえる
わたしの名前は古橋文乃。高校三年生です。
そんなわたしの仲のいい人がーー。
「よう古橋。お前もドハっちゃんを見に来たのか?」
「えへへ。実はそうなんです。先輩にドハっちゃんのぬいぐるみをあげてから
無性にハマっちゃって……」
ドハっちゃんというのは『ドクターフィッシュ』という魚をモチーフにした
キャラクターのことで、正式名称は『ドクターフィッシュ8号』である。
「そうか、お前も好きになってくれたか! 同志が出来て嬉しいぜ!」
「わたしもですよ、まさか小美浪先輩と共通の趣味が見つかるなんて思いませんでした……」
「実はアタシもだ……お前とは正直後輩を巡る恋敵だと思ってたからな……。
それはそうと古橋……ちょっといいか?」
「……はい?」
「実はアタシ、お前のこと考えると勉強も手につかねーんだ……」
「え、ちょ、先輩……これはどういうことですか……? 冗談、ですよね?」
あすみは文乃を押し倒したのだ。ドハっちゃんの話をしていたはずなのに突然
押し倒され、文乃は軽く混乱した。
「冗談なわけねーだろ? アタシは本気だ」
「えええっ!? どどど、どうしてそうなるんですか!?」
「いいだろーが。アタシはずっと初めて会った時からこうしたかったんだよ」
「………」
突然の事態に、文乃は最早言葉を失い、仕方なくあすみに身を委ねた。